セラピーの仕事をしていると、クライアントの問題を解決しなければいけないと思い込んでしまうことがあります。
ですが、それは本当に正しいでしょうか? 何を言っているかと言うと、クライアントは自分自身の気持ちがわからないことの方が多いです。周りの影響で問題を解決することに意味があるように思っている場合もありますが、本当の望みは違うところにある場合もあります。その場合、本当の望みではなく、問題を解決してしまうと、満足度が急速に下がっていきます。親切にはしてくれたけれども、なんだかちょっと違う。そんな風に思われてしまいます。
そんな時は、相手が本当のことを言ってるのかどうかを確認する必要があります。クライアント本人もわかっていないことなので、なかなか難しいですが、熟練したセラピストの多くはこれができるようになっています。これは経験値と言っても過言ではありませんが、徐々にできるようになっていきましょう。そのためには、作業としてやった行動の結果がクライアント自身喜んでいるかどうかを確認する必要があります、それを何十人、何百人とやっていくと、やはりそこに満足と不満。そういったものを見てとれるようになれるかと思います。
満足と不満が見て取れるようになると、自分のやってる行動がクライアントにとって満足のいくものであったかどうかを判断することができるようになります。クライアントが満足しているのであれば、笑顔にあふれますし、感謝の気持ちが自然と出てくる場合が多いです。そうでない場合は黙ってしまったり、ちょっとよくわからないそういった態度になってしまうでしょう。だから、クライアントの満足を読み取ることがとても重要になります。
クライアントの満足が読み取れるようになると、あなたのセッション自体の質の向上につながります。当然クレームや悪い感想とも、さようならです。そして、あなた自身も仕事にやりがいを感じていくことになるでしょう。どこかでそれを感じられないとしたら、あなたは自分に嘘をついて、仕方がないと思っていたかもしれません。それに気づいて、一生懸命仕事ができるようになれば、おのずと結果は向上していきます。
ですが、クライアントの満足を読み取ることに終始してしまっては、もしかしたら自分の勝手な思い込みになってしまうこともあります。ですから、相手の態度、あるいはこちらから質問して、その応答もよく聞いて、クライアントがほんとに喜んでいるのかどうか満足してるのかどうか、その点を受け取るようにしましょう。それができていないと、なんだか押し付けられて嫌だなぁとクライアントは思ってしまうようになります。そうなれば、自然と足が遠のき、クライアントを減らすことになります。
私の知っているセラピストに、結果を出すことに集中している人がいました。確かにクライアントに言われた結果は出るのですが、なんだかパッとしない感じ。クライアントが問題を解決しても、何かが違う。そんな風に見えていたそうです。そこでクライアントにセッション終了後のアンケートを取るようにしてもらいました。そうすると、やはりしっくりいっていないような声が多くて、それを追求しました。クライアントは問題を解決したかったけれども、それだけではなく、もっと話を聞いて欲しかった、共感して欲しかった、あることをして欲しかったと分りました。そこで、問題解決の度合いを少し下げて、満足を優先させるようにしたそうです。その結果、クライアントの満足度は向上したそうです。
問題を解決するセラピストの場合、問題解決だけでしっくりいかないときは、クライアントが何を望んでいるのかをよく聞いたり、考えたりして、クライアントの望みを叶えるようにしましょう。そうすることで、セッション自体の到達点が変わります。